高校の時、内緒で始めた人生初のバイトは地元のお好み焼き屋さん。そこで働いていた一人の主婦さん(友人の母でもある)が念願の夢だったというカフェをオープンした。
「ワンぽてぃと」の名前で始めたカフェは、大好きだというさつまいもとジャガイモをメインに、デザートから、チーズとバターでジャガイモを煮込むトルコ料理「クンピル」のアレンジまで、様々な食べ方を提案する、良い香りのあたたかいカフェ。
この暖かさは、カフェのもう一つの存在意義である「引きこもり支援」も大きく関係している。小栗さんは、「もっと寛容な場所があっても良いと思う」と、15分から勤務可能で、シフト表の存在しない勤務形態を創造した。引きこもりや不登校などの若者に社会に出るための第一歩として、3人がこの形態で働いている。
自分の部屋のドアノブの重さを知っている。私もいろいろなことが重なって自分の部屋、家を出るのが嫌になった時期があった。
「来ても、来なくても大丈夫だよ!」この心地の良い「適当さ」で、自分の存在を無条件に認めてくれる居場所があればどんなに心が救われるだろうか。
面白いのは、引きこもり支援→カフェやろう!というわけではなく、カフェ+介助犬→物件が意外と広い!→引きこもり支援できるじゃん!という発想。点と点をパチっと結びつけてしまう考えの柔軟さ。
たくさんのニュースや新聞に取り上げられたが、土日でも満席御礼!ということはあまりないという。しかしそんな状況でも、
「ぐっさんに来てほしいんだよねー!!(ぐっさん家という東海のテレビ番組がある。)」
と明るい小栗さん。明るく見えるかもだけど、私もめちゃめちゃメンタル弱いのよ!!と、弱さを隠すことも臆さない。
引きこもりを支援している店舗に目印となるようにつけたらどうか、と始めた「大海原の止まり木プロジェクト」春日井市も一丸となって今後、支援を進めていくとのこと。
「自分のペースで、ちょうど良いタイミングで、進めばいい」
まさに止まり木のような存在の小栗さんが発する言葉は、大海原をひたすら飛び続ける私達に「一度、羽を休めてみる」という選択肢を与えてくれる。
ごちそうさまでした。
↓お店の情報
カフェ「わんぽてぃと」
愛知県春日井市小野町4丁目9−10 1F
JR勝川駅徒歩約15分